露出(公然わいせつ)
身体の一部を公共の場所等で露出すると、その行為態様によって、軽犯罪法違反、各都道府県の迷惑行為防止条例違反、公然わいせつ罪のいずれかが成立する可能性があります。
公然わいせつ罪は、公然とわいせつ行為をした場合、すなわち、不特定多数の人が認識できる状態で、普通人の性的羞恥心を害し、善良な性的道徳概念に反する行為をすると成立します。
例えば、ことさらに性器を露出したり、性交または性交類似行為を公然と行ったりすることなどが対象となります。
わいせつ行為に至らない場合でも、公共の場所または公共の乗り物において、人を著しく羞恥させ、または人に不安を覚えさせるような方法で、卑猥な言動を行うと各都道府県の迷惑行為防止条例反となる可能性があります。
例えば、公共の場所で下着を露出するなどの行為は、迷惑行為防止条例違反になる可能性があります。
それ以外にも、公衆の目に触れるような場所で公衆に嫌悪の情を催させるような態様で臀部や太ももその他身体の一部をみだりに露出すると、軽犯罪法違反となります。
上記3つの類型がありますが、その区別は判然としないところもあります。
また、ファッションとして認められる限度を超えるか否かや、わいせつ行為をしたとしてもそれが公然としたといえるかなど、争いになる可能性のある部分も十分にあります。
これらの罪を犯してしまった、あるいは嫌疑をかけられたなどでお困りの際は、弁護士にご相談ください。
露出事件発生からの流れ
送検・勾留まで
逮捕前にご相談いただければ、弁護士としてアドバイスできる内容は多くなり、有利な結果となる可能性も高くなります。
逮捕された場合、もし、事実とは異なる、無関係での逮捕であれば、状況の説明や目撃者の証言をもらうなどして、早期釈放に向けて弁護活動を行います。
逮捕後、警察は被疑者の弁解を「弁解録取書」としてまとめ、それを参考に送検します。
逮捕から送検までは、最長48時間の時間制限があります。
送検されると検察は24時間以内に勾留が必要かどうかを判断し、必要とした場合裁判官に勾留請求を出します。
必要なしとした場合釈放されます。
裁判官は勾留要件を満たしているかを検討し、勾留決定か釈放を判断します。
勾留されてしまうと、逮捕に引き続き、10日場合によっては20日の身柄拘束が続いてしまいます。
そのため、できる限り勾留されないようにする弁護活動を検察官や裁判官に対して行います。
公然わいせつ罪をはじめとする露出に関する罪は、比較的軽微な罪であり、事件の具体的内容及び弁護活動によっては、勾留を防ぐことは十分に可能ですので、逮捕段階から弁護士に依頼する重要性が高いといえます。
仮に勾留されてしまった場合、勾留中は検察官・警察官より様々な取調べが行われ、最長で20日以内に起訴か不起訴かが判断されます。
勾留された後でも、勾留の判断に対して不服申立を行う等、早期釈放に向けての弁護活動を行います。
公然わいせつ等の露出する罪に特徴的なこととして、これらの罪は、特定の個人を傷つけるという理由ではなく、社会の健全な性道徳といったものに反するがゆえに処罰されるものであり、被害者が存在しないことが挙げられます。
ですので、例えば、盗撮や痴漢行為には、被害者が存在し、被害者と示談すれば、処罰が軽減され得るといことがいえますが、被害者が存在しない公然わいせつ等の露出に関する罪の場合、示談をするという弁護方針は取りづらいのが現実です。
起訴から裁判まで
公然わいせつ等の露出に関する罪は、初犯であれば、略式手続による罰金で終わることが多いといえますが、前科がある等の場合は、起訴(正式裁判)されることもあります。
起訴されると「被疑者」から「被告人」となります。
勾留されたまま起訴された場合、起訴されても勾留が続きますが、保釈の請求も可能です。
保釈とは保釈金を収めることを条件として、一定の制限はあるものの、身柄の拘束を解かれる制度です。
請求を行うと、裁判官(裁判所)が検察官の意見も聞いた上で許否を決定します。
ただし被告人の立場は変わりませんので、裁判は行われます。
なお、保釈金は裁判手続の終了後に返還されます。
保釈中に証拠隠滅や逃亡など保釈の条件に違反した場合、保釈金は没取されます。
裁判が行われると裁判官により、有罪・無罪が検討され、有罪であれば量刑も言い渡されます。
懲役刑に執行猶予が付くこともあり、猶予期間内に執行猶予が取り消されなければ、言い渡し自体が無かったことになります。
起訴後は、執行猶予の獲得など、実刑とならないための弁護活動が主となります。
公然わいせつ罪の量刑
1 公然わいせつ罪とは
刑法174条には,「公然とわいせつな行為をした」場合に公然わいせつ罪が成立すると規定されています。
「公然」とは,不特定または多数の人が認識できる状態を意味します。
不特定または多数の人に現実に認識されたことは必要ではなく,認識できるという可能性があれば足ります。
「わいせつな行為」とは,その行為者またはその他の者の性欲を刺激興奮または満足させる動作であって,普通人の性的羞恥心を害し,善良な性的同義観念に反するものをいいます。
難しい定義ですが,たとえば,公然に性器を露出することや,他人に見せるために性行為やその疑似行為をすることがこれに当たります。
2 公然わいせつ罪の罰則や量刑相場について
⑴ 公然わいせつ罪の法定刑は,1か月以上6か月以下の懲役もしくは1万円以上30万円以下の罰金または拘留もしくは科料です。
このように公然わいせつ罪の法定刑は,あまり法定刑に幅がない犯罪と言えます。
⑵ 公然わいせつ罪の初犯の場合,反省していれば不起訴になることもあり得ます。
ただし,犯行態様が悪質と評価される場合には,略式起訴され罰金に処せられる可能性があります。
同種前科多数がある場合には,公判請求されて懲役刑を科される可能性が出てきます。
公判請求された場合であっても,同種前科が多くなければ執行猶予が付く場合が多いと言えます。
3 最後に
初犯の場合,不起訴になるか起訴されるかで前科がつくかどうか決まるため,その後の生活への影響が変わってきます。
刑事事件において不起訴を勝ち取るためには,捜査の初期段階からしっかりとした弁護活動を行っていくことが重要だと言えます。
当法人には,公然わいせつ罪に関して多数の経験を有する弁護士がいます。
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