「その他性犯罪」に関するお役立ち情報
強制性交等罪(強姦罪)と準強制性交等罪(準強姦罪)の違いは?非親告罪でも示談は可能
1 強制性交等罪(旧:強姦罪)とは
13歳以上の者に対して、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交、口腔性交のいずれかの行為をした場合、強制性交等罪が成立します。
被害者が13歳未満であれば、暴行、脅迫が無くとも性交等するだけで、強制性交等罪となります。
平成29年改正前は、強制性交等罪ではなく、強姦罪と規定されていました。
強姦罪と比べ変更になった点は、①刑の重さ、②行為内容等、③非親告罪化があげられます。
まず、強姦罪が3年以上の有期懲役であったのに対して、強制性交等罪は5年以上の有期懲役となりました。
強姦罪は最低3年の懲役刑であったところ、強制性交等罪は、最低5年の懲役刑となったのですから、明確に厳罰化されたといえます。
執行猶予は3年以下の懲役刑となる場合にしか付することができないため、強制性交等罪で有罪になれば、基本的には、実刑を覚悟しなければならないと言えるでしょう。
また、強姦罪において処罰対象となる行為は、姦淫、つまり、性交に限られていましたが、強制性交等罪においては、肛門性交、口腔性交も含むものとされました。
口腔性交、口腔性交は、強制性交等罪が成立する前は、強制わいせつ罪として処罰されていました。
強制わいせつ罪は、6月以上10年以下の懲役刑であり、強制性交等罪は5年以上20年以下の懲役刑ですから、肛門性交、口腔性交に当たる行為についても、明確に厳罰化されました。
さらに、強姦罪は、被害の客体を「13歳以上の女子」と規定しており、被害者は女性のみだったところ、強制性交等罪では、被害の客体を「13歳以上の者」と規定しており、被害者は女性に限らず、男性も含むことになります。
従来の強姦罪は、親告罪であり、起訴するには、被害者の告訴が必要でした。
平成29年改正により、強制性交等罪は、非親告罪となっており、被害者の告訴が無くとも起訴できるようになりました。
2 準強制性交等罪(旧:準強姦罪)とは
準強制性交等罪は、暴行、脅迫の手段を用いずに、被害者の抵抗困難な状態に乗じて、性交等をする場合に成立します。
準強制性交等罪において、「準」と冒頭に付されていますが、これは「準じる」という意味で、強制性交等罪と同様に扱うということです。
刑の重さ等の点は、先に強制性交等罪で述べたことと同様です。
3 強制性交等罪と準強制性交等罪の違い
強制性交等罪は、被害者と性交等をする目的で、暴行脅迫を用います。
例えば、被害者と性交等する目的で、被害者の首を絞めるという暴行を加え、被害者が抵抗できないような状態にして、被害者と性交等する場合です。
準強制性交等罪は、被害者が抵抗できない状態を利用して性交等をする場合です。
例えば、深夜、熟睡している被害者と性交する場合があげられます。
加害者自らが、被害者が抵抗できない状態を作出するケースとして、被害者の飲み物に睡眠薬を入れ(レイプドラッグなどと呼ばれます)、眠り込ませたうえで、性交を行う場合があげられます。
4 強制性交等罪と準強制性交等罪で逮捕された際の流れ
逮捕された後、検察庁に送致され、検察官が勾留請求するか否かを判断し、勾留請求を受けて裁判官が勾留決定をするか否かを判断するという流れは、他の事件と同様です。
そして、強制性交等罪は、実刑も想定される重大な罪であるため、勾留の要件である「逃亡のおそれ」が容易に肯定されやすく、勾留されないで済むということは、稀でしょう。
5 強制性交等罪と準強制性交等罪は非親告罪だが罪を軽くするなら示談
平成29年改正前の強姦罪であれば、起訴される前に被害者と示談をするともに、告訴を取下げてもらえば、強姦罪は親告罪であったため、起訴される可能性を無くすことができました。
しかし、現在の強制性交等罪は、親告罪ではないため、示談等しても、起訴される可能性は残ります。
むろん、親告罪で無くなったとはいっても、他の被害者が存在する犯罪と同様、強制性交等罪においても、不起訴を目指すために、仮に起訴された場合でも減軽を求めるために、被害者と示談することは重要です。
6 強制性交等罪・準強制性交等犯罪の交渉は弁護士法人心にお任せください
強制性交等罪・準強制性交等罪は、厳罰化されたことにより、以前より処分が重くなることは避けられないでしょう。
示談できたとしても、起訴されるかもしれない、実刑になるかもしれないという覚悟は必要です。
それでも、被害者との示談に加えて、計画性の有無、暴行・脅迫の程度、性交等の具体的内容などについて事案に応じた、依頼者に有利な事情を主張し、不起訴や執行猶予判決の獲得を目指す弁護をおこないます。
ぜひ、弁護士法人心にご相談ください。